カテーテルアブレーション Q&A

カテーテルアブレーション 質問questions and answers

どのような不整脈に対して行われるのでしょうか?

・カテーテルアブレーションは、発作性の頻拍といわれる突然、脈が速くなる、心臓の鼓動が速くなる不整脈(脈が規則正しくても非常に速ければ不整脈と診断される場合があります)に対して行われます。発作時の心電図で発作性上室性頻拍、心室頻拍、発作性心房細動 等と診断された方が対象になります。

あるいは非発作時(症状がないとき)の心電図でWPW症候群と診断されている方に対して行われる治療です。発作時の心電図が記録されていない場合でも診断とともに行われる場合もあります。

・カテーテルアブレーションは、自然には正常な脈には戻らず持続する不整脈(例えば持続性心房細動、心房粗動)に対して行われる場合もあります。これらの不整脈が止まらない状態でありながら症状が乏しい方もおられます。

高周波カテーテルアブレーション実施施設に必要な基準がありますか?

特別な基準は設けられていません。とはいえ、合併症に対応するためには、常勤の心臓血管外科医や、血管、冠動脈を専門とする循環器内科医が重要で、安全な麻酔を行うためには、麻酔困難例もあり麻酔科医が勤務している必要があります。カテーテルアブレーションを行う施設では指導医を含む複数の心臓血管外科医や冠動脈を専門とする循環器内科医、麻酔科医師が常勤していることが通常は想像されます。また高齢の方が増えており心臓以外の病気を併せてもつ方も多く、外科、救急科、内科等の複数の医師が勤務していれば総合的に対応可能です。

尚、クライオバルーン等のバルーン型カテーテルアブレーションについては施設基準が設けられているようです。

費用は、どのくらいでしょうか?

通常は健康保険の適応です。

食事代、差額ベッド代は別です。
現役世代ですと平均的な収入の方で入院費用は、高額医療申請の手続きをしていただくと約10万円(収入等により変動します。)の自己負担です。

一般的なカテーテルアブレーションの効果は?

 ・発作性上室性頻拍、WPW症候群、心房粗動(通常型)

成功率(再発しない割合)は、 90~95%程度

(再発率5-10%)

・発作性心房細動

成功率は80%前後(3年間で再発しない割合、ただし3か月以内の再発除く)

(再発率20%前後)

 ・持続1年以内の心房細動

成功率は70%前後 (3年間で再発しない割合、ただし3か月以内の再発除く)

(再発率30%前後)

カテーテルアブレーション合併症について

カテーテルアブレーションは、メスは使わないものの一種の手術です。細心の注意のもと、行っても以下のような合併症は皆無というわけではありません。患者さんの病状や不整脈の種類によって発生率は異なります。合併症として、カテーテルにより心臓のまわりに血液が溜まる心タンポナーデや脈が非常に遅くなる房室ブロックなどがあり、修復手術やペースメーカーが必要な場合もあります。もちろんこれらの合併症が起こらないように細心の注意を払って手術を行いますが、合併症が起こってしまった場合、迅速かつ適切な対応が必要です。

・心臓血管、心臓弁や弁の支持組織(腱索)の損傷、穿孔               

約0.1%

・心タンポナーデ(心臓の覆う膜の間に血液が漏れ血圧が低下する)  

約1%

・穿刺部仮性動脈瘤(血液の溜りが動脈と交通した瘤)/動静脈瘻(動脈と静脈が交通)   

約1%

・房室ブロック、洞機能不全の発生(心拍、脈拍の著しい低下)             

約0.5%

・塞栓症(脳梗塞を含む)    

0.3%

・横隔神経麻痺 

約0.1%

・食道関連合併症(穿孔、瘻孔を含む)

約0.03% 

・胃運動障害

約0.2% 

・肺静脈の重度狭窄/閉塞

約0.3%   

・空気塞栓(冠状動脈、脳、肺)

約0.3%

・気胸(肺がしぼむ)/血胸(肺周囲:血液貯留+肺がしぼむ)            

約0.1%

・死亡 (心房細動の場合)

0.1~0.03%

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