アブレーションと再発

アブレーション再発

カテーテルアブレーション後の再発について

心房細動:早期再発

心房細動に対するカテーテルアブレーションは、手術直後から3か月の間で約4割の方が再発するいわれています。この時期の再発を早期再発といいます。入院中に再発して心房細動のまま退院される方もいるようです。再発の原因は、アブレーション後に炎症といわれる現象がおきることが主な要因とされます。

発作性心房細動であれば、早期再発があっても手術から3か月後に約8割の方が、心房細動がおさまるとされます。早期再発については、すぐにアブレーションは行わずに、3か月以降も再発し問題になるようであれば、再度のアブレーションも選択肢になります。アブレーション前に効果が不十分であった薬が効く場合もあります。

もともと持続している心房細動の場合、早期再発から3か月以降も、ずっと持続する方も少なくないため、早期再発の段階で、電気的除細動(直流電流による電気ショック)を行い正常な脈に戻すことを試みるケースもありますが、早期再発に対して一般的には、術後3か月以内の再度のアブレーションは推奨されません。

早期再発した心房細動に対して治療が必要があると判断された場合は、基本的には薬物治療が中心になります。抗凝固薬(血栓を予防する薬)のみで経過をみる場合もあります。

心房細動:慢性期再発

アブレーション後3か月以降の再発は、慢性期再発といわれます。

発作性心房細動の場合、2015年頃より以前は、一般的に再発は多く、2回(場合によっては3回以上)のアブレーションを行うことが当たり前という時代があり、1回目で十分な肺静脈隔離ができておらず2回目以降のアブレーションで完成させることにより効果が期待されていました。

現在では、一番効果があるといわれている肺静脈隔離が1回目のアブレーションにより、完成もしくは、ほぼ完成していることが多く、2回目以降で十分効果が期待されるターゲット(不十分な肺静脈隔離)が残っていないケースが想定されます。

肺静脈隔離の他に、効果があるという説もある追加のアブレーション(左心房後壁隔離、上大静脈隔離、僧帽弁輪線状焼灼等)は十分とは言えない根拠にもとづく可能性もあることに留意が必要です。1回目あるいは2回目以降に追加で、これらの部位にアブレーションを行われる場合もあります。

アブレーションの問題点としては、アブレーションした部位が原因で、むしろ不整脈がおきやすくなることがあります。2回目のアブレーションは3回目の入り口でもあります。

心房頻拍・心房粗動での再発

心房細動に対するアブレーション後に、心房細動以外の不整脈が発生することがあります。

特に上記の心房頻拍、心房粗動は持続して止まらなくなることも少なくありません。

時々起こる心房細動(発作性心房細動)に対してアブレーションを行うことにより、むしろ、止まらないで、ずっと続く不整脈、頻脈(頻拍)が出てしまうことがあります。

心房細動の早期再発と同様に、3か月以内におさまることもありますが、薬でも頻脈(頻拍)がおさまらず、心不全を起こすこともこともあり、術後3か月以内でも、電気的除細動や再度のカテーテルアブレーションが必要になる場合があります。

この場合、具体的なターゲット(頻拍の発生部位、発生回路)があるアブレーションということになります。

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